企業の受付から、ウェブサイトの案内、SNSでの広報活動まで。AIアバターは、今やあらゆるビジネスシーンでその姿を見かけるようになりました。
私たちブルーアールは、AIを活用したプロモーション制作を専門とする会社として、これらの技術動向とビジネスへの応用を常に研究しています。
この記事は、そのリサーチに基づき、皆さまに「AIアバター活用の成功イメージ」を具体的にお届けするために作成した、最新の事例ライブラリです。他社がどのように成果を上げているのかを知り、貴社の次の一手を考えるための参考にしてください。
▼AIアバターの基本(「とは?」)から知りたい方はこちら
AIアバターとは?仕組みや作成サービス、活用事例までをわかりやすく解説
もし、この記事を読み進める中で「AIを自社の宣伝・広告課題の解決に活用したい」「社内向けにAI活用の勉強会を開催したい」と感じられたなら、私たちがお力になれるかもしれません。まずはお気軽に、記事の末尾かお問い合わせからご相談ください。
【業界別】AIアバター活用事例ライブラリ

AIアバターは、業界ごとの特性や課題に合わせて、様々な役割を担い始めています。ここでは、国内外の具体的な導入事例を業界別に整理してご紹介します。ご自身のビジネスに近い事例から、活用のヒントを探してみてください。
小売業界
ローソン(コンビニ)

大手コンビニのローソンは、遠隔操作型のアバター店員を導入しています。2025年から海外在住の日本人をパートタイム採用し、深夜・早朝の接客を担当させる試みを開始しました。第一弾では時差を活かし、スウェーデン在住の日本人が店内スクリーン上のアバターとなってレジ横に立ち、セルフレジの使い方案内などを行いました。これにより人手不足となりがちな深夜帯の店舗運営を補完し、24時間営業の負担軽減や多様な働き方の創出につなげています。AVITA社の「AVACOM」サービスを活用し、外国語対応や手話での案内など、幅広い顧客層へのサービス強化も計画されています。
リーバイス(アパレル)

デニム大手のリーバイス(Levi’s)は、自社ECサイトでより多様なモデル画像を表示するため、AIで生成したアバターモデルのテストを発表しました。オランダのスタートアップLalaland.aiと提携し、体型・年齢・肌色の異なるモデルを生成AIで作り出して商品画像に使用する計画です。この施策は「人間のモデルを置き換えるものではなく補完する」方針ですが、「多様性の推進」をAIに頼ることへの批判もあり、同社はあくまで顧客体験向上の実験であり多様性施策の代替ではないと声明で説明しています。
ビヨンドレトロ(古着小売)
英国発の古着小売チェーンであるビヨンドレトロは、社内研修にAIアバター動画を活用しています。従来は店舗ごとに行っていたオペレーション研修を、Synthesia社のAI動画プラットフォームでデジタル講師アバターによる統一された教材に置き換えました。わずか2名のL&D(学習開発)チームで14店舗・140名のスタッフをアップスキルするコースを開発し、2週間ごとに新たな研修動画を公開するスピードを実現しています。AIアバターが話す多言語対応の映像コンテンツにより、場所を問わず均一な教育が可能になり、研修の一貫性と効率が向上しました。
金融業界
KB国民銀行(韓国)

店舗窓口にAIバンクテラー(銀行員)アバターを導入した最先端事例です。DeepBrain AI社と協業し、実在の行員5名をモデルにした高精細なバーチャルヒューマンを制作、2024年より韓国内の支店に配置しました。このAI銀行員はデジタルデスクやスマートキオスク上で稼働し、預金・ローン申請・口座開設などATMでは扱えない64種類もの手続きに対応できます。実際の社員を撮影して生成したリアルな外見・動作を持ち、音声対話と映像合成により対面さながらの接客を実現しています。来店客が営業時間外でもパーソナルな金融サービスを受けられるようにし、高品質な顧客体験と業務効率化を両立させました。
明治安田生命

明治安田生命が営業職員向けセルフトレーニングアプリ「AIロープレ」を開発し、スマホ上のAIが営業トークの表情・話速・内容を解析して改善点を指導する仕組みを導入しました。これにより約7,000名の営業職員が好きな時間・場所でトレーニングできるようになり、「初回面談から商品説明まで11種のシナリオ」に対応することで実践力向上に寄与しています。
医療・ヘルスケア業界
近畿大学病院

大阪府の近畿大学病院では、病院受付業務へのAIアバター導入に向けた実証実験を行いました。2025年2月より、AVITA社と協力し、外来受付に遠隔操作型+生成AIのハイブリッド受付アバターを設置しています。1日2200人超の外来患者を抱える大病院で、受付スタッフ不足や多言語対応が課題となる中、アバター接客によって無人化・省人化と患者サービス向上の両立を目指しました。実験では来院者がマイクに話しかけると、遠隔のオペレーターが操作するアバターが応対する仕組みを採用。将来的には、総合案内や診療受付だけでなく手術・入院時の説明を行う医療スタッフのサポートとしてもAIアバターを活用し、医療DXを推進する計画です。
大阪国際がんセンター

高度医療機関である大阪国際がんセンターでは、問診業務に生成AIアバター医師を活用する取り組みを進めています。2024年に発表された計画によれば、患者が来院前にWeb上でAIによる問診を受け、その内容をもとにアバター医師が症状の聞き取りや治療方針の説明を行う会話システムを開発中です。大規模言語モデルを活用したこのバーチャル医師は、各学会の診療ガイドラインを学習させた上でテスト運用を重ね、2025年以降の実用化を目指しています。導入効果として、診察時間の短縮や医師の負担軽減が期待されるほか、蓄積した問診データを分析して新たな治療法や創薬研究に役立てることも視野に入れています。
名城大学薬学部

医療従事者の教育訓練にもAIアバターが活用されています。名城大学薬学部ではNTTと協力し、調剤薬局シミュレーションにAI患者アバターを導入しました。2025年6月の授業で本格運用が開始された「AIオンライン服薬指導学習システム」では、教員を元に生成した高精細な78歳男性患者アバター(名城幸男さん)が登場し、学生はマイクを通じて対話しながら服薬指導を実践します。AI患者は頑固な性格設定で、オピオイド鎮痛薬の服用を拒否するシナリオとなっており、学生たちは単なる問診スキルだけでなく患者の心情に寄り添い信頼関係を築くコミュニケーションを訓練できました。
教育業界
関西外国語大学
語学教育の現場でもAI教師アバターが登場しています。同大学の学生チームは、ChatGPTを基盤としたAI英会話教師アバターの研究を発表しました。このシステムでは、AI教師アバターがペアワークの相手役となり、学習者との対話をリアルタイムに解析して会話を進行します。対話終了後には文法ミスの指摘だけでなく、より自然な表現への言い換えなど多角的なフィードバックを提供できる点が評価されました。実際に人間同士で行うペア英会話では教師が全てのペアを細かく指導するのは困難ですが、AIアバターを用いることで会話が途切れず進み、学習者の意欲を高める効果が示唆されています。
エンタメ・メディア業界
琉球朝日放送(QAB)

沖縄の琉球朝日放送(QAB)では2025年1月、日本初となるAIアナウンサーによる定時ニュース番組を開始しています。実在のアナウンサーを撮影して作ったアバターが深夜・早朝のニュースを日本語で伝え、副音声で英語放送する仕組みで、多言語ニュース提供とアナウンサーの働き方改革の両面を実現しました。このシステムはNECとDeepBrain AI社の技術協力で、原稿を入力すれば自動的に唇の動きまで自然なニュース映像が生成されるため、人手不足の地方局でも深夜ニュース枠の復活が可能になりました。
Neo NPC
ユービーアイソフト(Ubisoft)とNVIDIAは2024年、スタートアップのInworld AIと組んで次世代のAI NPC(ノンプレイヤーキャラクター)技術「Neo NPC」を発表しました。これは音声合成と大規模言語モデルを活用し、ゲーム内のNPCがプレイヤーの音声に直接応答して会話できるようにしたものです。GDC 2024のデモでは、プレイヤーが話しかけるとNPCが背景設定に沿った受け答えを即座に返す様子が披露され、まるでゲーム世界の登場人物と自由に会話しているかのような没入感が注目されました。
不動産業界
東急リバブル

国内不動産大手の東急リバブルは、マンション販売接客へのAIアバター活用で先進的な事例です。銀座サロンにおいて、新築マンションの初期物件説明を営業スタッフに代わりAIアバターが24時間対応するシステムを導入しました。ウェルヴィル社の対話エンジン「LIFE TALK ENGINE」を用いて構築されたこのアバターは、実際のベテラン営業の知見を組み込んだキャラクターで、周辺環境・間取り・設備など物件情報の説明や、よくある質問への回答を対話形式でこなします。約300通りのQ&Aをあらかじめ学習させており、来場者が「ペットは飼えますか?」等と質問すると、人間営業さながらに自然な受け答えで回答します。
自治体・行政
観光案内
三重県明和町

明和町オフィシャルキャラクター「日月 和姫(ひづき なごみ)」をモデルにしたAIアバターを観光案内所に導入(2025年2月)。AVITA社のサービスを用い、訪日外国人含む観光客に対し音声・テキスト双方で対話可能な多言語案内(英語・中国語・韓国語等)を24時間提供しています。
東京都渋谷区

では、渋谷駅近くの観光案内所「shibuya-san」にて、6人の個性豊かなAIアバターが観光ガイドを行う実証を2024年11月から開始。利用者は自分の興味に合ったアバターを選び対話でき、案内は日本語・英語・中国語・韓国語の多言語対応です。
北海道ニセコ町

世界的なスキーリゾートであるニセコで、2025年2月よりJRニセコ駅構内の観光案内所にAI観光アバターを設置し実証実験を実施。日立製作所が技術提供し、VR・旅行サービス展開のタイムルーパー社がソリューション構築を担当。AIアバターは日本語と英語の2言語でニセコのスキー場や交通・宿泊・飲食情報など最新観光情報を案内し、質問に応じて各施設のGoogleマップリンク(QRコード経由)を提示することでスムーズに道案内を実現しています。
大分県別府市

年間680万人もの観光客が訪れる温泉観光地・別府で、観光案内所の人手不足解消を目指したAI観光ガイドの実証実験を実施(2024年12月)。JR別府駅の案内所「ワンダーコンパス別府」に、ACCESS社の生成AIプラットフォーム「FrascoAITM」を活用した3Dキャラクターの観光案内AIアバターを設置。AIが自然言語処理で観光客と対話し、観光地の魅力や詳細情報を分かりやすく伝えています。
兵庫県淡路市

人が遠隔操作する観光案内アバターを活用しています。ご当地キャラ「淡路島の神様 あわ神」を3Dアバター化し、関西国際空港の到着ロビーに設置。淡路市役所内のオペレーターが離れた空港から来訪者に対応し、淡路島の観光名所やアクセスを案内する仕組みです。遠隔地から複数拠点を一人の案内役で対応できる効率化と、キャラクターによる親しみやすい案内で観光誘客を図っています。
住民サービス・行政窓口
福島県会津若松市
2025年5月、全国初の試みとしてアバター接客AI+AI電話を組み合わせた次世代窓口を導入。庁舎1階総合案内に設置された「AIさくらさん」は画面上のキャラクターが来庁者の呼びかけに応じて案内を開始し、生成AIによる柔軟な対話で質問に即答します。日本語のほか英語・中国語・韓国語・タイ語にも対応しています。
神奈川県海老名市
人材サービス大手のエイジェックと東大発EggAI社と共同で、生成AI活用の対話型窓口ツール「そうだんAI-Te」の実証実験を実施(2025年2月~3月)。市役所総合窓口に設置され、来庁者への庁舎案内や手続き案内をAIアバターが対話形式で対応します。住民サービスの質向上と職員のコア業務集中の環境づくりが目的で、2025年4月の本格導入を目指した検証でした。
相談支援・福祉分野
新潟県三条市

大日本印刷(DNP)と連携し、メタバース上の「AI相談窓口」の実証事業を実施(2024年12月5日~11日)。DNP提供の仮想空間「メタバース役所」に、市役所職員のアバターを模したAIキャラクターを配置し、離婚に関する悩み相談を受け付けるという全国でも先駆的な取り組みです。相談者は自宅などからVR空間に匿名でアクセスし、顔出し不要でAIアバターに家庭内の不安・悩みを打ち明けます。実証の結果、参加者の6~7割がAIアバターの回答に満足と回答し、「緊張せず気軽に相談できた」「本音で話せた」といった声が寄せられています。
防災・災害対応分野
兵庫県神戸市
防災行政無線の分野でAIアナウンサー音声をいち早く導入しました。2023年より、Spectee社のAI自動音声システム『AIアナウンサー「荒木ゆい」』を活用し、緊急時の避難情報等を迅速に放送できる体制を構築。従来は市役所内の卓から職員がマイクで読み上げていた防災無線放送を、テキストを入力するだけでAI音声が代読する仕組みに刷新し、インターネット環境さえあればどこからでも遠隔操作で放送可能となりました。大規模災害時、職員自身も被災する恐れがある中で、AI音声の活用は職員の安全確保と迅速な情報発信に寄与します。
広報・コミュニケーション
東京都

AI広報アバター「都庁たまごのたまちゃん」を制作し運用開始。卵の殻に東京の地図をあしらったユニークなキャラクターで、「殻(課題)を破る」を合言葉に都政と都民の距離を縮める存在として誕生。役割は、記者会見やプレスリリースで発表された都政情報をAIでわかりやすいテキストと音声に変換し、約1分の縦型ショート動画としてSNS発信することです。都の若年層への情報到達率が低い課題に対応するため、InstagramやX(旧Twitter)、LINE、YouTubeの公式アカウントで投稿しています。
神奈川県横須賀市
生成AIで横須賀市長本人の姿・動作・声を学習したリアルな「市長アバター」が、市長の定例記者会見の内容を英語で説明する動画を制作し、公式YouTubeで配信しています。国内自治体で首長のAI分身が英語発信するのは初めてであり、言語の壁を越えて市の情報を届ける画期的な取り組みです。
明日から使える!AIアバター活用の実践アイデア5選

国内外の先進的な事例を見て、「うちの会社でも何かできないか?」と感じた方も多いのではないでしょうか。ここでは、業界を問わず、多くの企業が比較的低コストで、かつ効果的に導入できるAIアバターの具体的な活用アイデアを5つご紹介します。
アイデア1:採用サイトでの「AI社員」による仕事紹介
若手社員や、各部署の代表者のAIアバターを作成し、採用サイトで「AI社員」として仕事内容や一日のスケジュールを紹介させます。これにより、学生は気軽に何度でも仕事内容について知ることができ、採用担当者の負担を軽減しつつ、先進的な企業イメージを与えることができます。
アイデア2:SNS広告用の動画を、AIアバターで作成
これまでタレントや社員が出演していたSNS広告の動画を、AIアバターに代替させます。これにより、撮影コストや出演料を大幅に削減できるだけでなく、キャンペーン内容やターゲット層に合わせて、複数のパターンの広告動画を迅速に、そして大量に制作することが可能になります。
アイデア3:社内研修・マニュアル用の動画コンテンツを低コストで制作
新入社員向けの研修や、社内システムの利用マニュアルなどを、AIアバターを講師役として動画化します。一度作成すれば何度でも利用でき、内容の更新もテキストを修正するだけで簡単に行えるため、教育担当者の負担を大幅に軽減し、学習効果の標準化にも繋がります。
アイデア4:イベントやセミナーの告知動画をAIアバターで作成
開催予定のウェビナーや展示会について、その内容や見どころをAIアバターが案内する告知動画を作成し、SNSやウェブサイトで発信します。登壇者や担当者が毎回撮影する必要がなくなり、告知活動を効率化できます。
アイデア5:代表メッセージや社内通達の「AIスポークスパーソン」
企業の代表のAIアバターを作成し、定期的なメッセージ動画や、全社向けの重要な通達などを配信します。これにより、代表本人の撮影スケジュールを確保する必要がなくなり、タイムリーな情報発信が可能になります。また、多言語対応のツールを使えば、海外支社向けのメッセージも簡単に作成できます。
まとめ
本記事では、AIアバターの具体的な活用事例と、すぐに実践できるアイデアをご紹介しました。
見てきたように、AIアバターはもはや未来の技術ではなく、顧客とのコミュニケーションを深化させ、業務を効率化し、新しいブランド体験を創造するための、極めて実践的なビジネスツールです。
この記事で紹介した事例やアイデアをヒントに、ぜひ貴社ならではの、ユニークで効果的なAIアバター活用法を検討してみてください。
本記事は2025年8月時点の情報に基づいて作成されています。生成AI技術は日々進化していますので、最新の情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
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