世界中で愛されるHeinzケチャップ。単なる調味料を超え、食文化のアイコンとして君臨してきました。しかし、153年の歴史を持つこの老舗ブランドも、若年層との接点創出に課題を抱えていました。そこで今回は、生成AIを巧みに活用して消費者との絆を深めた革新的な事例をご紹介します。
プロモーション概要
本キャンペーンは、AIイラストツール(DALL-E 2)に〈ケチャップ〉というシンプルなプロンプトを入力するという斬新な発想から始まりました。驚くべきことに、生成された画像のほとんどがHeinzのボトルを彷彿とさせるものでした。
プロンプトを〈ケチャップ ルネッサンス〉や〈ケチャップ ストリートアート〉、〈ケチャップ タロットカード〉と変更しても、出力されたイラストにはすべてHeinzの特徴的なボトルが描かれていたのです。
これらの画像を利用し、Heinzは、“This is What Ketchup Looks Like to AI(これがAIが思い描くケチャップの姿です)”というキャッチコピーを添えて、OOH広告や交通広告として大々的に展開しました。
このキャンペーンは、AIさえもがHeinzをケチャップの代名詞と認識しているというという強力なメッセージを発信し、自社製品の唯一無二の地位を印象づけることに成功しました。
さらに、ソーシャルメディア上でユーザーに新たなケチャップの画像プロンプトの提案を呼びかけ、この実験をさらに発展させました。
そして、AIが生成したビジュアルを用いた画期的なキャンペーンが誕生。HeinzボトルのラベルをこれらのAI画像で置き換え、メタバース内にアートギャラリーを開設するという斬新な試みを実施。世界中の人々がこのHeinz AI展示に熱狂しました。
結果として、カナダとアメリカで開始されたこのキャンペーンは瞬く間に世界規模へと拡大。8億5,000万回という驚異的なインプレッション数を記録し、過去のキャンペーンと比較して38%も高いエンゲージメント率を達成しました。
最先端技術を戦略的に活用してブランド価値を高めた優れた事例として評価され、『クリオ賞』や『カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル』など、世界的に権威ある広告賞を次々と受賞しました。
これから応用できそうな領域
Heinzの生成AI活用事例は、他業界にも大きな示唆を与えています。
例えば、ファッション業界において生成AIデザインを採用し、ブランドの個性を際立たせつつ、ユーザー参加型のデザインコンテストを開催するなど、若年層を巻き込む施策が考えられます。
まとめ
Heinzは、食品業界における新たな広告のパラダイムシフトを示しました。生成AIを巧みに活用して自社製品の確固たる地位を証明し、消費者参加型の企画を通じて若い世代との結びつきを強化することに成功しました。今後も、AIの活用事例に注目し、みなさまのお役に立てる情報を発信いたします。