音声合成技術は、今やYouTubeクリエイターから企業のマーケティング担当者まで幅広く活用されています。中でも「VOICEVOX」は、高品質な音声合成機能で注目を集めている無料ソフトウェアのひとつです。
しかし、気になるのは商用利用が可能かどうか。「YouTubeやTikTokで収益化したい」「企業の広告音声に使いたい」という方にとって、利用規約の確認は非常に重要です。
本記事では、VOICEVOXの商用利用可否について、利用規約の原文とともにわかりやすく解説します。
もし、この記事を読み進める中で「AIを自社の宣伝・広告課題の解決に活用したい」「社内向けにAI活用の勉強会を開催したい」と感じられたなら、私たちがお力になれるかもしれません。まずはお気軽に、記事の末尾かお問い合わせからご相談ください。
VOICEVOX とは?

VOICEVOXは、ヒホ(Hiho/hiroshiba)が開発した無料の日本語音声合成ソフトウェアです。2021年8月1日にリリースされ、テキスト読み上げおよび歌声合成機能を中心に発展を続けています。
主な特長
1. 高品質な音声合成
細かなイントネーション調整が可能で、テキスト単位でアクセントや抑揚を制御できます。自然な日本語音声の生成により、聞き手にとって心地よい音声を作成することができます。
2. 多彩な声モデル(キャラクター)
代表的な「四国めたん」「ずんだもん」「春日部つむぎ」「波音リツ」など、多様な声質を選択可能です。それぞれのキャラクターには個性的な声質があり、用途に応じて使い分けることができます。
3. 歌声合成機能
2024年にハミング機能(歌う声の生成)が実装され、話し声を歌声で再現できるようになりました。これにより、楽曲制作やプレゼンテーションでの表現の幅が大きく広がりました。
4. クロスプラットフォーム対応
Windows、macOS、Linux(Ubuntu)に対応しており、さらにOSS版(オープンソース版)では開発者によるカスタマイズも可能です。
5. オフライン利用
インターネット接続不要で利用でき、プライバシーを重視する用途にも適しています。
最新アップデート
2025年現在、VOICEVOXは継続的にアップデートが行われており、最新版では以下のような機能強化が実施されています。
・マルチトラック機能:複数の音声トラックを同時に編集可能
・UIの改良: 操作性の向上とフルスクリーン対応
・新キャラクターの追加: 「ぞん子」「中部つるぎ」など新しい音声モデルが追加
・間の長さ一括制御: より自然な音声の生成が可能に
VOICEVOXのライセンスと利用規約
VOICEVOXを商用利用する際に最も重要なのが、ライセンスと利用規約の理解です。VOICEVOXには「ソフトウェア利用規約」と「各音声ライブラリの利用規約」の2つの規約があります。

許諾内容
1. 商用・非商用問わず利用することができます
2. 作成された音声を利用する際は、各音声ライブラリの規約に従ってください
3. 作成された音声の利用を他者に許諾する際は、当該他者に対し本許諾内容の 2 及び 3 の遵守を義務付けてください
最初の項目で、「商用・非商用問わず利用することができます」と明記されています。つまり、VOICEVOXソフトウェア自体は無料で商用利用が可能です。
音声ライブラリごとの利用規約
ただし、注意が必要なのは2番目の項目です。「作成された音声を利用する際は、各音声ライブラリの規約に従ってください」とあるように、使用するキャラクター(音声ライブラリ)ごとに個別の利用規約が存在します。
商用利用はできるのか?【結論:キャラクターによって異なる】
基本的な商用利用条件
VOICEVOXで生成した音声の商用利用については、以下のような結論になります。
ソフトウェア自体:商用利用可能(無料)
キャラクター音声:キャラクターごとの利用規約に従う必要がある

大半のキャラクターは「商用・非商用問わず利用することができます」となっており、適切なクレジット表記を行えば商用利用が可能です。キャラクターごとの利用規約を予め確認しましょう。
※ただし、生成AIで出力したコンテンツを商用利用する場合は、利用規約の解釈や著作権リスクの評価について、社内の法務担当者や専門家に相談することを推奨します。特に大規模な商用展開や重要なビジネス用途での利用前には、必ず専門的な法的助言を求めることが重要です。
VOICEVOX Nemoの活用
商用利用を前提とする場合、特に注目すべきは「VOICEVOX Nemo」です。

Nemoの音声ライブラリを用いて生成した音声は、「VOICEVOX Nemo」とクレジットを記載すれば、商用・非商用で利用可能です。
VOICEVOX Nemoの特徴は以下の通りです。
・キャラクター性が薄い:「キャラクターボイスもキャラが薄い(いい意味で)ので使いやすい」
・シンプルな規約:キャラクターごとの複雑な規約を確認する必要がない
・企業利用向け:ビジネス用途に適したニュートラルな音声
クレジット表記について

VOICEVOXで生成した音声を使用する際のクレジット表記は必須です。
基本的なクレジット表記方法
・基本形式: 「VOICEVOX:キャラクター名」
・例: 「VOICEVOX:ずんだもん」「VOICEVOX:春日部つむぎ」
・Nemoの場合: 「VOICEVOX Nemo」
用途別クレジット表記方法
動画での利用
動画で音声を使用する場合は、概要欄への記載が推奨されています。概要欄に記載することで検索性が向上し、VOICEVOX開発チームの励みにもなります。
表記場所の例:
・概要欄への記載
・動画内テロップ、エンドクレジット
電話音声・スピーカー案内の場合
音声のみを使用する場合は、以下の方法でクレジットを表記します。
表記方法:
・音声の冒頭または終了時にクレジット音声を挿入
・機械本体や設置場所周辺への文字表記
なお、使用するキャラクターに個別の案内がある場合は、そちらの規約を優先してください。
音楽配信サービスの場合
楽曲投稿プラットフォームなど、概要欄がないサービスでも柔軟に対応可能です。重要なのは「利用を積極的に隠そうとしていない」ことです。
表記場所の例:
・アーティストの公式Webページ
・関連する動画配信サービス
企業・教育機関での利用
会社や学校でVOICEVOXを使用する場合も、適切なクレジット表記により商用・非商用問わず利用できます。
特殊な利用ケースでの注意点
技術的な音声加工を行う場合
音声の中間データ(AudioQuery/FrameAudioQuery)をVOICEVOX以外のシステムで処理する場合でも、クレジット表記は必要です。技術的な加工を行っても、元となるVOICEVOXの利用は変わらないためです。
クレジット表記を省略したい場合
一部のキャラクターでは、特別なライセンス契約によりクレジット表記を省略できる場合があります。これは主に企業の大規模利用や、ブランドイメージの観点でクレジット表記が困難な場合に検討される選択肢です。詳細は各キャラクターの公式サイトで確認してください。
商用利用時の注意点

第三者の権利を侵害しない
音声合成に使用するテキストが他者の著作物である場合、著作権侵害となる可能性があります。オリジナルのテキストを使用するか、適切な許諾を得ることが重要です。
キャラクターごとの利用規約の確認
キャラクターの音声とNemo の音声は利用規約が異なります。ご利用の際は各音声の利用規約を確認しましょう。
禁止事項について
VOICEVOXの利用規約では、一般的に以下のような用途が禁止されています。ただし、詳細な禁止事項はキャラクターやNemoで異なるため、使用前に該当する利用規約を必ず確認してください。
・信用や品位を損なうような利用
・第三者の権利を侵害する内容での利用
・公序良俗に反する内容での利用
クレジット表記なしでの利用
キャラクターによって、クレジット表記をしない商用利用については、利用料を1キャラクター毎に40万円(+消費税)で契約させていただきます。との記載があります。クレジット表記を行わない場合は、有償での利用契約が必要となります。
まとめ
VOICEVOXは基本的に商用利用が可能な優秀な音声合成ソフトウェアです。ソフトウェア自体は無料で商用利用でき、多くのキャラクターもクレジット表記を行えば商用利用が認められています。
ただし重要なのは、VOICEVOXには「ソフトウェア利用規約」と「キャラクターごとの利用規約」の2層構造があることです。ソフトウェアは商用利用可能でも、使用するキャラクターによっては個別の制限がある場合があります。そのため、利用前には必ず使用予定のキャラクターの公式サイトで最新の利用規約を確認してください。
企業でのビジネス利用を検討している場合は、キャラクター性の薄いVOICEVOX Nemoの活用がおすすめです。規約がシンプルで、ブランドイメージにも配慮した音声生成が可能です。
どのキャラクターを使用する場合でも、適切なクレジット表記は必須です。表記方法は利用シーンに応じて柔軟に対応できるよう設計されており、動画なら概要欄、音声のみなら音声内でのクレジット挿入など、用途に合わせて選択できます。
本記事は2025年12月時点の情報に基づいて作成されています。生成AI技術は日々進化していますので、最新の情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
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