AI音楽生成プラットフォーム「Udio」が注目を集めています。テキスト入力から約30秒程度のオリジナル音楽を瞬時に生成できるサービスです。しかし、ビジネスでの活用を検討する際に気になるのが「商用利用は可能なのか」という点です。
本記事では、Udioの商用利用可否について、利用規約の原文とともにわかりやすく解説します。
Udioとは?

Udioは、AI技術を活用した音楽生成プラットフォームです。Google DeepMind出身の研究者らが2023年12月に設立したUncharted Labs, Inc.が開発し、2024年4月10日に公開ベータ版としてリリースされました。
主な特長
1. リアルなボーカル生成
テキストや歌詞から自然で人間らしい歌声を生成できます。約30秒程度のオリジナル楽曲を瞬時に制作可能です。
2. 多ジャンル対応
ポップ、ロック、ジャズ、クラシック、日本のJ-POPやアニソン風など、多様なジャンルに対応しています。
3. テキストプロンプト入力
キーワードやジャンル、歌詞、ストーリーなどを入力するだけで音楽を生成できる直感的な操作性が特徴です。
4. リミックス・編集機能
生成した曲に対して再プロンプト投入でリミックスが可能。音声ファイルのアップロードを基に曲の延長や編集も行えます。
最新機能(Version 1.5)
2024年7月23日にリリースされたVersion 1.5では、以下の機能が追加されました。
・専用作成ページの導入による直感的な操作環境
・ステムダウンロード対応(各パート別の音素材出力)
・オーディオ・トゥ・オーディオ・リミックス機能
・歌詞付き動画出力機能
・音質向上とモデル精度の強化
日本での利用について
Udioは、Web上でGoogleアカウントやメールアドレスで登録でき、日本からも利用できます。
Udioの利用プラン

2025年7月現在、Udioでは無料プランと有料プランが提供されています。
Free(無料プラン)
・料金:$0
・1日あたり10クレジット、月あたり100クレジット限度
・最大4曲を同時に生成
・1日あたりフルレングス(2分10秒)楽曲生成は3回まで
Standard
・料金:$10 / 月
・月間1200クレジット限度(1日あたりの制限なし)
・最大6曲を同時に生成
・トラック編集
・オーディオクリップからの楽曲生成
・音楽ステムダウンロード
・カスタムカバーアートアップロード機能
Pro
・他プランの全ての機能
・料金:$30 / 月
・月間4800クレジット限度(1日あたりの制限なし)
・最大8曲を同時に生成
・スタイルリファレンスからの楽曲作成、一括ダウンロード機能
・新機能への早期アクセス
商用利用はできるのか?【結論:有料プランで可】
生成コンテンツの所有権について
Udioの利用規約第6.3条では、生成したコンテンツについて以下のように明記されています。

日本語訳:
本サービスのご利用に際し、お客様は、本サービス上または本サービスを通じて、コンテンツその他の情報(お客様の入力コンテンツを含む)(「お客様のコンテンツ」)を投稿、アップロード、または送信することができる場合があります。当社とあなたとの間において、当社はあなたのコンテンツ(あなたの入力コンテンツをサービスに送信したことにより生成された出力を含む)に対するいかなる所有権も主張しません。ただし、当社またはその関連会社またはそのそれぞれのライセンサーがサービスおよびサービスに用いられたあらゆるソフトウェアまたは技術(出力の生成に用いられたものを含む)の所有権を保有し、今後も保有し続けるものとします。本利用規約(第6.4条を含む)に準拠する場合、あなたは出力結果を個人使用および商業目的の両方に使用することができ、当社は、そのような目的のために、出力結果が音声ファイルからなるコピーをダウンロードすることを許可します。
つまり、利用規約に従う限り、生成された楽曲は個人的・商業的目的の両方で利用が可能です。Udioは生成されたコンテンツに対する所有権をユーザーに付与しています。
帰属表示について
利用規約第6.4条では、無料プランと有料プランで帰属表示の要件が異なることが定められています。

日本語訳:
帰属表示。あなたが、出力物(Output)または出力物を含むコンテンツ(全部または一部)を、いかなる方法においても利用または公開する場合(第三者のアプリケーション、ウェブサイト、プラットフォームを通じて提供される音声または映像記録の形式での出力物の配布を含む)、あなたは、当該利用に際して、適切な帰属表示(例:トラックタイトル、クレジットセクション、 など)に、当該出力物が本サービスを使用して生成されたことを明確に表示するクレジット、通知、またはその他の表示を付すことに同意するものとします。ただし、あなたが当社の有料サービスにサブスクリプションを契約している場合、当該義務は、当該サブスクリプション期間中に生成された出力物には適用されないものとします。
無料プランの場合
アウトプットを公開利用する際は、Udioサービスを使用して生成されたことを示すクレジット表示が必要。
有料プラン(Standard・Pro)の場合
サブスクリプション期間中に生成されたアウトプットには帰属表示義務は適用されない。
つまり、有料プランでは「Made with Udio」などのクレジット表示なしで楽曲を公開・配布できます。
※ただし、生成AIで出力したコンテンツを商用利用する場合は、利用規約の解釈や著作権リスクの評価について、社内の法務担当者や専門家にご相談することを強く推奨します。特に大規模な商用展開や重要なビジネス用途での利用前には、必ず専門的な法的助言を求めることが重要です。
利用制限について
利用規約第5.2条および第1.4条では、以下のような利用制限が定められています。
禁止されている利用方法
・不法、名誉毀損、侵害的、わいせつ、過度に暴力的、ポルノグラフィック、プライバシーや公開権を侵害する、ハラスメント、脅迫、虐待的、憎悪的、残酷、欺瞞的、またはその他異議のあるアウトプットの生成指示
・サービス自体の一部または全体を有料で販売すること
・他のAI・機械学習モデル、ツール、技術の強化、有効化、または訓練にサービスを使用すること
・他のユーザーのアウトプットの商用利用
第三者コンテンツの取扱い
他のユーザーが生成したアウトプットについては、個人的・非商業的目的でのみ利用可能です。ストリーミングプラットフォームやユーザー生成コンテンツプラットフォーム(YouTube、Facebook、Instagram、TikTok、Spotify、Soundcloudなど)での配布には、事前の書面による同意が必要です。
自分で生成した楽曲は商用利用可能ですが、違法・有害コンテンツの生成や他ユーザーの楽曲の商用利用、サービス自体の転売は禁止されています。
商用利用の注意点
著作権について
利用規約では、ユーザーが入力するコンテンツについて以下の保証を求めています。

日本語訳:
サービスを通じていかなる入力コンテンツを送信することにより、あなたは、当該入力コンテンツをサービスにおいて送信し、利用する(および当社が利用することを許可する)ために必要なすべての権利、ライセンス、同意、許可、権限および/または権限を有していること、または取得していることを表明し保証します。これには、出力の生成を目的とする場合を含みます。
入力コンテンツとして既存の楽曲の歌詞や音源を使用する場合は、事前に適切な権利処理を行う必要があります。無断使用は利用規約違反となり、著作権侵害のリスクもあります。
生成AIコンテンツの性質
利用規約では、生成AIの性質について以下のような注意点が記載されています。

日本語訳:
人工知能(AI)および機械学習の性質上、ご提供される出力は一意ではない可能性があり、サービスは第三者に対して同じまたは類似の出力を生成する可能性があります。他のユーザーがサービスに同様の入力を提供した場合、サービスから同じ出力を受け取る可能性があります。
同様の入力を行った他のユーザーが類似の楽曲を生成する可能性があることを理解しておく必要があります。
責任の所在
利用規約第8.3条では、ユーザーの責任について以下のように定めています。

日本語訳:
本利用規約に同意し、サービスにアクセスまたは利用することにより、あなたは、以下の事由に起因または関連し当社グループが被る一切の請求、費用、損害、損失、責任および経費(弁護士費用を含む)について、当社グループを防御し、補償し、免責するものとします:(a) あなたが本利用規約のいかなる条項または適用される法律または規制に違反または不履行した場合; (b) あなたが第三者の権利を侵害した場合(あなたが生成または利用した出力物を含む);(c) あなたがサービスを不正に利用した場合;(d) あなたのコンテンツ;または (e) あなたの過失または故意の不正行為。
生成された楽曲の商用利用に関して発生した問題については、ユーザーが責任を負うことになります。
データの取り扱いと個人情報保護

個人情報の収集と利用
Udioのプライバシーポリシーでは、以下のカテゴリの個人情報を収集することが明記されています。
主な収集情報:
・プロフィール・連絡先データ(氏名、メールアドレス)
・支払いデータ(金融口座情報、支払いカードの種類、請求先住所)
・商取引データ(購入履歴)
・デバイス/IPデータ(IPアドレス、デバイスID、ブラウザ情報)
・ウェブ分析データ(ページでのやり取り、参照元ウェブページ)
・位置情報データ(IPアドレスベースの位置情報)
第三者への開示
プライバシーポリシーでは、以下のカテゴリの第三者への個人情報開示が明記されています。
主な開示先:
・サービスプロバイダー:ホスティング、技術・通信プロバイダー、ウェブトラフィック分析プロバイダー、セキュリティ・詐欺防止コンサルタント、サポート・カスタマーサービスベンダー、決済処理業者
・広告パートナー:広告ネットワーク、マーケティングプロバイダー
・ビジネスパートナー:共同プロモーション提供企業
・あなたが承認・アクセス・認証する当事者:ソーシャルメディアサービス、他のユーザー
具体的には、決済処理パートナーとしてStripe, Inc.が明記されています。
データ保管期間
個人情報の保管期間について、以下のように定められています。
サービス提供やビジネス・商業目的の遂行に必要な期間、あなたに関する個人情報を保管します。特定のデータカテゴリの保管期間を決定する際、データの収集元、個人情報の必要性、収集理由、個人情報の機密性を考慮します。
具体的な保有期間:
・プロフィール情報:アカウント保有期間中
・支払いデータ:購入またはサブスクリプション処理に必要な期間
・デバイス/IPデータ:システムの適切な動作確保に必要な期間
無料トライアル終了時の取り扱い
利用規約では、無料トライアル期間の終了について以下のように定められています。
トライアルアカウントをキャンセルするか、トライアル期間終了時にサービスの有料版を購入しないことを決定した場合、トライアルアカウントに関連するコンテンツまたはデータは利用できなくなり、当社はそのようなコンテンツまたはデータを削除または除去する場合があります。
Udioでは個人情報の適切な管理とデータ保護が行われていますが、アメリカの企業であるため、データは主に米国で処理・保管されることを理解した上で利用する必要があります。
準拠法と裁判管轄
利用規約第10.8条では、紛争解決について以下のように定められています。

日本語訳:
本利用規約は、ニューヨーク州の法律に準拠し、抵触法規則の適用を排除します。本利用規約に起因または関連するいかなる紛争についても、第9条に定める仲裁裁判所が管轄裁判所となります。ただし、仲裁が適用されない場合、ニューヨーク州ニューヨーク郡に所在する州裁判所または連邦裁判所が管轄裁判所となります。
利用規約に関する紛争は、アメリカ・ニューヨーク州の法律に基づき解決されることが定められています。
まとめ
Udioは有料プランで商用利用が可能です。生成された楽曲の所有権はユーザーに帰属し、有料プランでは帰属表示の義務もありません。ただし、入力コンテンツの権利処理はユーザーの責任であり、著作権侵害や利用規約違反による問題についてもユーザーが全責任を負います。また、ニューヨーク州法に基づく利用規約であることや、データが主に米国で処理されることを理解した上での利用が重要です。
2025年7月時点でVersion 1.5がリリースされ、ステムダウンロードや歌詞付き動画出力機能など、Udioは継続的に進化を続けています。ビジネスシーンでの活用を検討する際は、最新の機能と利用規約を確認した上で、効果的に活用しましょう。
本記事は2025年7月時点の情報に基づいて作成されています。生成AI技術は日々進化していますので、最新の情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
クリエイティブの常識を変えるならAI CREATIVE BASE
ビジネス変革を目指すすべての企業・組織の方に、「AI CREATIVE BASE」がお役立ちします。
✓ 戦略的なソリューション提案
✓ 効率的な課題解決
✓ 包括的なクリエイティブ支援
AI CREATIVE BASEは、クリエイティブ領域の幅広いニーズに対して、最適なソリューションを提供します。
最先端の技術とプロフェッショナルの知見を融合させ、お客様の事業課題に寄り添いながら、これまでにない価値を持つクリエイティブ表現を実現します。
詳しくはサービスページをご覧ください。