動画生成AIプラットフォーム「Pika」が注目を集めています。テキストや画像から数秒程度の動画を瞬時に生成できるサービスです。しかし、ビジネスでの活用を検討する際に気になるのが「商用利用は可能なのか」という点です。
本記事では、Pikaの商用利用可否について、利用規約の原文とともにわかりやすく解説します。
Pikaとは?

Pikaは、AI技術を活用した動画生成プラットフォームです。2023年11月にPika 1.0をローンチし、テキスト・画像・動画をAIで短尺動画に生成・変換するサービスを提供しています。
主な特長
1. Text-to-Video機能
テキストプロンプトから直接動画を生成できます。数秒程度のオリジナル動画を瞬時に制作可能です。
2. Image-to-Video & Video-to-Video機能
静止画や既存動画を動きのある動画に変換できる機能を提供しています。
3. 豊富なエフェクト機能
・Pikaffects:ケーキ化・溶解・膨張・爆発といった物理現象風エフェクトを適用
・Scene Ingredients/Pikascenes:ユーザー画像を取り込んで動画に組み込む機能
・Pikaswaps:動画内の要素(キャラクターや背景など)を置き換え
・Pikaframes:滑らかなトランジション付きI2V機能
最新バージョン
2025年7月現在、Pika 2.2が最新版として提供されており、以下の機能が追加されています。
・1080p高画質対応 滑らかなフレーム遷移
・トランジション対応
・「Selfie With Your Younger Self」機能による感情的なコンテンツ生成
日本での利用について
Pikaは、Webブラウザやモバイルアプリ(iOS/Android)からアクセスでき、日本からも利用できます。
Pikaの利用プラン

2025年7月現在、Pikaでは無料プランと3つの有料プランが提供されています。
Free(無料プラン)
・料金:$0
・月間80動画クレジット
・Pika 1.5、Pikadditions、Pikaswaps、Pikatwists(Turbo)、Pikaffectsへのアクセス
Standard
・料金:$10 / 月
・月間700動画クレジット
・Pika 1.0、1.5、2.1、2.2、Turbo、Pro機能へのアクセス
・高速生成
・追加クレジット購入可能
Pro
・料金:$35 / 月
・月間2300動画クレジット
・Pika 1.0、1.5、2.1、2.2、ターボ、プロ(Pikadditions、Pikaswaps、Pikatwists)、すべてのPikaffectsへのアクセス
・より高速な生成
・より多くのロールオーバー動画クレジットを購入
・ウォーターマーク無しで動画をダウンロード
・商用利用
Fancy
・料金:$95 / 月
・月間6000動画クレジット
・Pika 1.0、1.5、2.1、2.2、ターボ、プロ(Pikadditions、Pikaswaps、Pikatwists)、すべてのPikaffectsへのアクセス
・最高速度での生成
・より多くのロールオーバー動画クレジットを購入
・ウォーターマーク無しで動画をダウンロード
・商用利用
Pikaの料金プランは4段階で構成されており、商用利用にはPro($35/月)以上のプランが必要です。Pro以上では透かしなしでの動画ダウンロードも可能になります。
商用利用はできるのか?【結論:有料Pro・Fancyプランで可】
生成コンテンツの所有権について
Pikaの利用規約第7条「Ownership」では、生成したコンテンツについて以下のように明記されています。

日本語訳:
法律で許可される範囲において、Pikaは自動化されたツールまたは手動ツールを使用して入力と出力を確認または監視する場合があります。
Pikaは、利用者が提出した入力やサービスの利用を通じて生成された出力について、いかなる所有権も主張しません。Pikaと利用者の間では、利用者がそれらの出力に対するすべての権利を保持します。Pikaが出力に対して何らかの権利を取得した場合、当社はそのすべての権利を利用者に譲渡します。出力は適用法の下で著作権またはその他の法的保護の対象とならない可能性があることを利用者は認識し、Pikaはそれらの保護の対象となることについて何ら表明しません。出力は「ユーザーコンテンツ」とは見なされませんが、利用者は受け取った出力の使用または配布について引き続き単独で責任を負います。
つまり、利用規約に従う限り、生成された動画の所有権はユーザーに帰属し、Pikaは生成されたコンテンツに対する所有権を主張しません。
※ただし、生成AIで出力したコンテンツを商用利用する場合は、利用規約の解釈や著作権リスクの評価について、社内の法務担当者や専門家にご相談することを強く推奨します。特に大規模な商用展開や重要なビジネス用途での利用前には、必ず専門的な法的助言を求めることが重要です。
商用利用の条件
料金プランの比較表からも明確ですが、ProとFancyプランでのみ「Commercial use」が明記されています。
利用規約第5条「Rights We Grant You」では、以下のように定められています。

日本語訳:
本利用規約および適用されるポリシー(AUPを含む)の遵守を条件として、Pikaは、サブスクリプションプランが明示的に商用利用を許可している場合を除き、個人的かつ非商業的な使用のためのみにサービスにアクセスし使用する限定的、非独占的、譲渡不可、サブライセンス不可、取消可能なライセンスを利用者に付与します。
無料プランとStandardプランでは個人的・非商業的な利用に限定されており、商用利用にはPro以上のプランが必要です。
透かし(ウォーターマーク)について
Pro・Fancyプランの特徴として「Download videos with no watermark」が明記されています。これは、無料プランやStandardプランで生成された動画には透かしが入ることを意味しています。
商用利用を検討する場合、透かしなしでの動画ダウンロードが可能なPro以上のプランが実質的に必要となります。
利用制限について
利用規約第5条「Prohibited Uses」および「Acceptable Use Policy」では、以下のような利用制限が定められています。
禁止されている利用方法
著作権・知的財産権の侵害

日本語訳:
禁止されている使用
適用法、知的財産権、契約上の制限、またはその他の法的義務に違反してサービスを使用し出力を生成すること
他人の肖像権の侵害

日本語訳:
禁止されている使用
個人の同意または法的権利なしに、個人の画像または肖像をアップロード、投稿、または利用可能にすること
競合サービスの開発

日本語訳:
禁止されている使用
Pikaの製品またはサービスと競合する機械学習または人工知能システムの研究、訓練、微調整、または開発にサービスまたは出力を使用すること
主な制限

児童の安全保護
あらゆる方法で児童を搾取、害する、または搾取もしくは害しようとすること
ハラスメント・差別の禁止
ハラスメント、差別、暴力、テロリズム、虐待、いじめ、脅迫、威嚇、または憎悪的な行動、コンテンツ、または発言に従事、促進、助長、扇動、または寄与すること
欺瞞的コンテンツの禁止
他者を欺く、詐欺する、誤解させる、誤った情報を与える、または偽情報を流すこと
Pikaでは著作権・肖像権侵害、児童保護、ハラスメント・差別、欺瞞的コンテンツの生成などが禁止されており、これらの違反は利用停止の対象となります。
商用利用の注意点
著作権について
利用規約では、ユーザーが入力するコンテンツについて以下の保証を求めています。

日本語訳:
ユーザーコンテンツを提出することにより、利用者はサービスの運営、改善、および宣伝に必要な範囲で、ユーザーコンテンツを使用、複製、修正、翻案、公開、翻訳、派生物の作成、配布、実行、および表示する世界的、非独占的、ロイヤリティフリー、譲渡可能、サブライセンス可能なライセンスをPikaに付与します。
入力コンテンツとして既存の画像や動画を使用する場合は、事前に適切な権利処理を行う必要があります。無断使用は利用規約違反となり、著作権侵害のリスクもあります。
生成AIコンテンツの性質
利用規約では、生成AIの性質について以下のような注意点が記載されています。

日本語訳:
生成人工知能の性質上、出力は一意ではない可能性があり、他のユーザーが類似または同一の出力を生成する可能性があることを利用者は認識します。利用者は、自身の出力と他者が生成した出力との類似性に基づくPikaまたはそのユーザーに対するいかなる請求も放棄します。
同様の入力を行った他のユーザーが類似の動画を生成する可能性があることを理解しておく必要があります。
責任の所在
利用規約第14条「Indemnification」では、ユーザーの責任について以下のように定めています。

日本語訳:
利用者は、Pika、その関連会社、ライセンサー、サービスプロバイダー、およびそれぞれの役員、取締役、従業員、契約者、代理人、サプライヤー、後継者、譲受人に対して、(1)お客様による本利用規約、AUP、または適用法規の違反、(2)お客様が生成または配布した出力を含むお客様のユーザーコンテンツ、(3)お客様によるサービスの不正使用またはコンテンツの不正使用、(4)お客様による第三者の権利の侵害、または(5)お客様の過失または故意の不正行為から生じる、またはそれに関連するあらゆる請求、責任、損害、判決、裁定、損失、費用、経費、または料金(合理的な弁護士費用を含む)を補償するものとします。
生成された動画の商用利用に関して発生した問題については、ユーザーが責任を負うことになります。
商用利用時は入力コンテンツの権利処理、生成AIによる類似出力の可能性、法的責任の所在について十分な理解と対策が必要です。
データの取り扱いと個人情報保護

個人情報の収集と利用
Pikaのプライバシーポリシーでは、以下のカテゴリの個人情報を収集することが明記されています。
主な収集情報:
・連絡先情報(氏名、メールアドレス、請求先住所および郵送先住所)
・人口統計情報(市、州、居住国)
・プロフィール情報(アカウント認証情報、プロフィール写真、経歴詳細、設定、プロモーションや調査への参加)
・ユーザー生成コンテンツ(写真、動画、テキスト、メッセージ
・入力と出力(テキスト、画像、動画の入力および関連する生成コンテンツやメタデータ)
・生体情報(顔の特徴や音声データのスキャン)
・支払いおよび取引情報
・ネットワークおよびソーシャルコネクション
・マーケティングデータ
第三者への開示
プライバシーポリシーでは、以下のような第三者への個人情報開示が明記されています。
主な開示先:
・子会社および関連会社
・業務をサポートする請負業者、サービスプロバイダー、その他の第三者
・合併、買収等の事業承継先
・法的要求への対応
・権利、財産、安全の保護のため
具体的には、決済処理パートナーとしてStripe, Inc.が明記されています。
データ保管期間
個人情報の保管期間について、以下のように定められています。

日本語訳:
適用される法律または規制で別途許可または要求される場合を除き、当社は、法的、会計、または報告要件を満たす目的を含め、収集した目的を達成するために必要な期間のみ、個人情報を保持します。
Pikaは幅広い個人情報を収集し、Stripeなどの第三者と共有します。データは主に米国で処理・保管されるため、この点を理解した上での利用が重要です。
準拠法と裁判管轄
利用規約第15条「Resolving Disputes」では、紛争解決について以下のように定められています。

日本語訳:
カリフォルニア州法は、本規約またはお客様の本サービスへのアクセスもしくは使用に起因するすべての訴訟手続きに適用されます。
利用規約に関する紛争は、アメリカ・カリフォルニア州の法律に基づき解決されることが定められています。
また、仲裁に関する条項では、仲裁地について以下のように規定されています。

日本語訳:
本仲裁条項に従って開始される仲裁は、ZoomまたはZoomと同様の機能を提供するバーチャル会議プラットフォームを使用してバーチャルで実施されなければなりません。技術的問題、仲裁人がバーチャルでの仲裁への参加を望まないもしくは参加できない、またはその他の説得力のある理由により、バーチャル仲裁が不可能な場合、仲裁はカリフォルニア州パロアルトまたは当事者が相互に合意するその他の場所で実施されなければなりません。
Pikaの利用規約はカリフォルニア州法に準拠し、紛争解決は原則としてバーチャル仲裁で行われます。アメリカの法的枠組みの下での利用となることを認識しておく必要があります。
まとめ
PikaはProおよびFancyプランで商用利用が可能です。生成された動画の所有権はユーザーに帰属し、有料プランでは透かしなしでの動画ダウンロードも可能です。
ただし、入力コンテンツの権利処理はユーザーの責任であり、著作権侵害や利用規約違反による問題についてもユーザーが全責任を負います。また、カリフォルニア州法に基づく利用規約であることや、データが主に米国で処理されることを理解した上での利用が重要です。
2025年7月時点でPika 2.2がリリースされ、1080p高画質対応や滑らかなフレーム遷移機能など、Pikaは継続的に進化を続けています。ビジネスシーンでの活用を検討する際は、最新の機能と利用規約を確認した上で、効果的に活用しましょう。
本記事は2025年7月時点の情報に基づいて作成されています。生成AI技術は日々進化していますので、最新の情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
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