3Dキャプチャとテキストから映像を生成するAI技術が急速に進歩している中、「Luma AI」が大きな注目を集めています。スマートフォンのカメラで撮影した映像から高品質な3Dモデルを生成し、テキストから自然な動画を作成できる革新的なプラットフォームとして、クリエイターからビジネス分野まで幅広いユーザーに利用されています。
しかし、ビジネスでの活用を検討する際に気になるのが「商用利用は可能なのか」という点です。制作物をクライアントワークに使いたい、マーケティング素材として活用したいという方にとって、利用規約の確認は欠かせません。
本記事では、Luma AIの商用利用可否について、利用規約の原文とともにわかりやすく解説します。
Luma AIとは？
Luma AI（開発：Luma Labs）は、スマートフォンのカメラで撮影した画像や動画から高品質な3Dモデルや映像を生成できる最先端のAIプラットフォームです。NeRF技術やGaussian Splatを使用した3D再構築から、テキストベースの動画生成まで、革新的な機能を提供しています。
主な特長
1. 3Dキャプチャ & シーン生成
・iPhone/Androidで撮影した静止画や動画を高精細に3D再構築
・静止オブジェクトから公園や建築物などの広いシーンまで対応
・NeRF技術とGaussian Splatによる高品質な出力
2. Dream Machine（動画生成）
・テキストプロンプトから5秒の自然な動画を生成
・静止画や既存動画をベースにした映像制作も可能
・Ray2モデルによる高品質な映像出力
3. Genie（Text-to-3D）
・テキストプロンプトから3Dオブジェクトを自動生成
・キャラクターモデルなど創造的なコンテンツ制作に対応
4. 多様なエクスポート形式
・glTF、NeRF、Gaussian Splats形式での出力
・Unreal Engine、Unity、Blenderなどへの連携
最新機能・アップデート
Modify Video（2025年6月）
同一ショット内で世界観を変更できる革命的な編集機能。背景の入れ替え、昼から夜への変換、服装の変更、CGアニメ化などが可能。
Reframe（2025年5月）
画像・動画の縁を追加・リサイズして、SNSやシネマ比率など任意フォーマットに最適化する機能。
Ray2 モデル拡張
・Keyframes：開始・終了フレームを定義したコントロール性の高い動画生成
・Extend：従来の5秒から最大1分まで動画延長
・Loop：シームレスなループ動画の生成
Camera Conceptsシリーズ
・Camera Motion Concepts：生成動画のカメラ移動制御
・Camera Angle Concepts：視点や構図の細かな調整
日本での利用について
Web版では、Googleアカウントやメールアドレスで登録でき、日本からも利用できます。また、iOS向けのモバイルアプリも提供されています。
Luma AIの利用プラン
2025年6月現在、Luma AIはWeb版とiOS版で異なる料金体系を提供しています。
Web版料金プラン
・Free Plan：画像のみ、720p生成、低優先度処理、非商用利用のみ、透かし付き
・Lite Plan：月間3,200クレジット、1080p画像・720p/1080p動画、高優先度処理、非商用利用のみ、透かし付き
・Plus Plan：月間10,000クレジット、商用利用可、透かしなし
・Unlimited Plan：リラックスモード無制限、ファストモード月間10,000クレジット、商用利用可
・Enterprise Plan：カスタム価格、大規模組織向け
iOS版料金プラン
Web版とは若干異なる価格設定で、年間プランの割引率が20%となっています。
クレジット消費量
・Photon（画像生成）：4クレジット/画
・Ray2 720p動画：5秒160クレジット、10秒320クレジット
・Ray2 1080p動画：5秒170クレジット、10秒340クレジット
・Modify Video：5秒約400クレジット、10秒約800クレジット
・Reframe：画像4クレジット、Ray2 Flash 11クレジット/秒
出典：Luma AI公式サイト（https://lumalabs.ai/learning-hub/dream-machine-support-pricing-information）
商用利用はできるのか？【結論：Plus以上の有料プランで可、Free・Liteプランは制限あり】
商用利用に関する基本条項
Luma AIの利用規約には、生成コンテンツの商用利用について以下のように記載されています。
日本語訳：
顧客は、商用利用を許可する有料サブスクリプション下での有効なサブスクリプション期間中に生成されたアウトプットである場合に限り、そのアウトプットを商用目的で使用できることを認識し、同意します。
Plus Plan以上の有料プランにおいて生成されたコンテンツの商用利用が可能です。Free PlanとLite Planは明確に非商用利用に制限されており、商用利用には適していません。
※ただし、生成AIで出力したコンテンツを商用利用する場合は、利用規約の解釈や著作権リスクの評価について、社内の法務担当者や専門家にご相談することを強く推奨します。特に大規模な商用展開や重要なビジネス用途での利用前には、必ず専門的な法的助言を求めることが重要です。
入力コンテンツのライセンス条項
有料プラン利用時
日本語訳：
有効なサブスクリプション期間中に提供された入力データについて、以下の目的に合理的に必要な範囲でのみ、使用、ホスト、保存を行う世界的、非独占的、取り消し不能、ロイヤリティフリー、完全有償の権利およびライセンス（複数階層でのサブライセンス権を含む）をLumaに付与します：（1）サービスの提供、（2）使用データまたは出力の取得・生成、（3）集約データの作成・編纂、（4）サービス、その他の製品・サービスの改善、新製品・サービスの開発、（5）Lumaがサービスに関連して使用する人工知能・機械学習モデル、システム、アーキテクチャ、重み、関連技術の作成、テスト、改善、訓練、その他の開発、（6）法律で要求される場合、当事者間で書面で合意された場合、その他本契約で許可された場合。
無料プラン利用時
日本語訳：
有効なサブスクリプション期間外に提供された入力データについて、ホスト、保存、転送、公開表示、公開実行（デジタル音声送信を含む）、公衆への伝達、複製、表示目的での修正、二次的著作物の作成、配布を、全体または一部を問わず、あらゆるメディア形式およびあらゆるメディアチャンネルを通じて行う、世界的、非独占的、取り消し不能、永続的、ロイヤリティフリー、完全有償の権利およびライセンス（複数階層でのサブライセンス権を含む）をLumaに付与します。
有料プランでは入力データの使用目的が「サービス提供、データ生成、サービス改善、AIモデル訓練等の6つの目的に合理的に必要な範囲」に制限されているのに対し、無料プランでは「公開表示、配布、二次的著作物の作成等を含む包括的な利用権限」をLuma側に付与することになります。特に無料プランでは、入力データがLumaによって自由に配布・公開される可能性があるため注意が必要です。
コンテンツ利用の制限事項
基本的な禁止事項
Luma AIの利用規約には、以下のような禁止事項が明記されています。
日本語訳：
適用される規制に従わない規制対象活動にサービスを使用すること、または違法薬物・商品・サービスの開発・流通や児童の搾取・害悪を含む違法行為をサービスで促進・従事すること
性的に露骨なコンテンツ／政治活動・誤情報の制限
日本語訳：
サービスを使用してポルノグラフィックまたは性的に露骨なコンテンツを生成すること
サービスを使用してディープフェイク（または同様に欺瞞的な出力）を作成すること
サービスを使用して心理的に有害なコンテンツを作成すること
政府や選挙の操作・操作の試み、個人・グループ・団体に関する誤情報・誤解を招く情報の拡散を含む政治活動にサービスを使用すること
肖像権・知的財産権に関する条項
日本語訳：
一人以上の人物を含む写真や画像をサービスにアップロードする場合、その人物およびその管理者、後見人、相続人、受託者（もしいれば）に対して、個人使用目的およびオンラインプラットフォームやサービスを通じてその写真を複製、配布、公開表示する取り消し不能、永続的、ロイヤリティフリー、完全有償、世界的ライセンスを付与することになります。ただし、第三者の製品、商品、サービスの宣伝目的は除きます。
また、以下の表示義務があります。
日本語訳：
人物を特定または類似するアウトプットを使用する場合、そのアウトプットがAIで生成されたものであることを公に明示する必要があります。
つまり、人物が写った画像を入力として使用する場合は、写真に写っている本人にその写真の使用権限を与えることになり、さらに人物を含むAI生成コンテンツを出力として使用する際は「AI生成」である旨を明示する義務が発生します。これらの条項は、肖像権の保護とAI生成コンテンツの透明性確保を目的としたものです。
プライバシーとデータ保護
データの取り扱い
日本語訳：
サービス運営のため：サービスおよび事業の提供、運営、改善、支払い処理と取引完了、サービスに関する通知・更新・セキュリティ警告・サポートメッセージの送信、サポート提供および要求・質問・フィードバックへの対応。
研究開発のため：サービスの利用状況の調査を含む、サービスの分析・改善および新製品・サービスの開発。
マーケティング・広告のため：当社および広告パートナーがマーケティング・広告目的でお客様の個人情報を収集・使用。
AIモデル訓練に関する権利
有料プラン・無料プランの両方において、入力データと出力データがLumaのAIモデル訓練に使用される可能性があることが明記されています。機密性の高いビジネスコンテンツを扱う場合は、Enterpriseプランの利用を検討することをおすすめします。
セキュリティ措置
日本語訳：
Lumaは入力データを不正アクセス、使用、開示から保護するための合理的な技術的・組織的措置を実装します。
商用利用の注意点
商用利用できるとはいえ、以下の点には注意が必要です。
生成コンテンツの品質と責任
日本語訳：
サービスおよび出力は「現状のまま」提供されます。Lumaおよびそのサプライヤー・ライセンサーは、明示的、黙示的、法定的、その他を問わず、他の保証を行いません。
生成されたコンテンツが期待通りの品質であることを確認し、商用利用前には十分な品質チェックを行うことが重要です。
責任の制限
日本語訳：
顧客は以下を認識し、同意します：(A) 様々な理由により出力にエラー、不整合、不正確性が存在する可能性がある… (B) サービスおよび機械学習・人工知能技術の性質上、出力はあなた固有、新規、独占的、特別なものでない可能性があります。
著作権と類似性の確認
日本語訳：
入力のアップロードは、第三者が所有または管理する知的財産と実質的に類似した出力の生成を意図したものではありません。
生成されたコンテンツが既存の著作物に類似していないかを確認し、第三者の権利を侵害していないことを事前に確認することが必要です。
免責と賠償責任
利用者の免責義務
日本語訳：
顧客は、(1) 入力またはユーザーコンテンツ、(2) 法律違反、詐欺、重過失、故意の不正行為、(3) 本契約の表明、保証、約束の違反または不履行に起因してLumaに対して提起される第三者からの請求、要求、訴訟を防御または和解させなければなりません。
責任の制限
日本語訳：
Lumaおよびそのサプライヤー・ライセンサーの本契約に起因または関連する総責任額は、合計で以下のいずれか大きい額を超えないものとします：(A) 50.00米ドル、または (B) 責任が発生した請求の日の6ヶ月前から顧客がLumaに支払った、または支払うべき金額。
商用利用時には、コンテンツの使用に関する責任を理解し、適切なリスク管理を行うことが重要です。
紛争解決と準拠法
Luma AIの利用規約では、紛争解決について詳細な仲裁条項が設けられています。
日本語訳：
本契約に起因する紛争は拘束力のある個別仲裁によって解決され、本契約を受諾することにより、あなたとLumaは陪審裁判を受ける権利またはクラスアクションや代表訴訟に参加する権利を放棄します。
また、準拠法については以下のように定められています。
日本語訳：
本契約は、法の抵触規定に関係なく、カリフォルニア州法および米国法によって規律されます。
Luma AIとの紛争は原則として仲裁で解決され、カリフォルニア州法が適用されます。ただし、少額裁判所での個別請求や知的財産権に関する差止救済については例外として裁判所での解決も可能です。
まとめ
Luma AIは革新的な3D生成・動画生成AIプラットフォームとして、2025年に多くの新機能がリリースされ、ますます高性能になっています。
商用利用については、Plus Plan以上の有料プランで可能です。Free PlanとLite Planは非商用利用に制限されています。データの取り扱いでは、有料・無料プランの両方でAIモデル訓練への使用が明記されており、特に無料プランでは広範囲な使用権限をLuma側に付与することになります。
人物画像を使用する際は本人への使用権限付与とAI生成表示が義務付けられており、生成コンテンツについても既存著作物との類似性確認が必要です。機密性の高いビジネス用途ではEnterpriseプランの利用を検討しましょう。
本記事は2025年6月時点の情報に基づいて作成されています。生成AI技術は日々進化していますので、最新の情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
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