AIによるテキスト、音声、画像の生成は、今や個人クリエイターから企業マーケターまで幅広く活用されています。中でも「Claude」は、Anthropicが開発した高性能な対話型AIアシスタントとして注目を集めています。
しかし、気になるのは商用利用が可能かどうか。「ビジネスコンテンツに活用したい」「制作物に使いたい」という方にとって、利用規約の確認は非常に重要です。
本記事では、Claudeの商用利用可否について、利用規約の原文とともにわかりやすく解説します。
もし、この記事を読み進める中で「AIを自社の宣伝・広告課題の解決に活用したい」「社内向けにAI活用の勉強会を開催したい」と感じられたなら、私たちがお力になれるかもしれません。まずはお気軽に、記事の末尾かお問い合わせからご相談ください。
Claudeとは?

Claude(クロード)は、米国のAI企業Anthropicが開発した次世代のAIアシスタントで、自然言語処理やマルチモーダル処理に優れた大規模言語モデル(LLM)です。2023年の初リリース以降、複数のバージョンが登場し、特に2024年以降のアップデートで大きな進化を遂げています。
主な特長
1. テキスト生成と要約
ブログ記事、レポート、メールなどの文章作成や要約が可能
2. コード生成とデバッグ
プログラミングコードの自動生成やデバッグ支援
3. 画像・図表の解析
グラフやチャートからの洞察抽出や、図面からのコードスニペット生成が可能
4. 多言語対応
日本語を含む多言語での自然な対話や翻訳が可能
5. PDF・Office文書の解析
PDFやWord、Excelなどの文書を読み込み、内容の要約や情報抽出を行う
最新モデルと機能アップデート
1. 最新モデル「Claude Sonnet 4.5」
2025年9月30日、AnthropicはClaude Sonnet 4.5を正式にリリースしました。Claude Sonnet 4.5は世界最高のコーディングモデルであり、複雑なエージェントを構築するための最強のモデルです。また、推論と数学において大きな進歩を示しています。
Claude Sonnet 4.5の主な特長:
・世界最高のコーディング能力:SWE-bench Verified評価において最先端性能を発揮し、複雑な複数ステップのタスクにおいて30時間以上集中力を維持できることが確認されています。
・コンピュータ利用の飛躍的向上:OSWorldベンチマークにおいて61.4%でトップを記録(わずか4か月前のClaude Sonnet 4は42.2%)
・推論と数学の向上:金融、法律、医学、STEMの専門家が、従来モデルと比較してドメイン固有の知識と推論が大幅に優れていることを確認
・価格据え置き:Claude Sonnet 4と同価格で、100万トークンあたり入力3ドル/出力15ドル
2. 最も整合性の高いモデル
Claude Sonnet 4.5は、これまでで最も整合性の取れたフロンティアモデルです。徹底的な安全トレーニングにより、追従、欺瞞、権力欲、妄想的思考を助長する傾向といった懸念される行動を軽減しています。特にエージェント機能においては、プロンプトインジェクション攻撃に対する防御において大きな進歩を遂げました。
AI安全レベル3(ASL-3)の保護下でリリースされ、CBRN(化学兵器、生物兵器、放射線兵器、核兵器)に関連する潜在的に危険な入出力を検出するフィルターが含まれています。
3. Claude Codeの大幅アップデート
Claude Codeに以下の新機能が追加されました。
・チェックポイント機能:進行状況を保存し、以前の状態に即座にロールバック可能
・ターミナルインターフェースの刷新:より使いやすく改良
・ネイティブVS Code拡張機能:VS Codeとの統合がさらに強化
・長時間実行の改善:より複雑な処理を長時間にわたって実行可能
4. Claude Agent SDKの提供開始
Claude Codeの基盤となるインフラストラクチャを開発者に提供する「Claude Agent SDK」がリリースされました。このSDKにより、開発者は以下のような高度なエージェントを構築できます。
・長時間実行されるタスク間でのメモリ管理
・自律性とユーザー制御のバランスを取る権限システム
・共通の目標に向かって作業するサブエージェントの連携
コーディングだけでなく、非常に幅広いタスクにおいて優れた効果を発揮します。
5. Claudeアプリの機能拡張
Claudeアプリに以下の新機能が追加されました。
・コード実行機能:会話の中で直接コードを実行可能(すべての有料プラン)
・ファイル作成機能:スプレッドシート、スライド、ドキュメントを直接作成可能(すべての有料プラン)
・Claude for Chrome拡張機能:ブラウザ内で直接操作し、サイト閲覧、スプレッドシート入力、タスク完了が可能(Maxユーザー向け)
6. Claude APIの新機能
Claude APIに以下の機能が追加されました。
・コンテキスト編集機能:より柔軟なコンテキスト管理が可能
・メモリツール:エージェントの実行時間をさらに延ばし、より複雑な処理に対応
日本での利用について
Claudeは、Googleアカウントやメールアドレスでの登録が可能で、日本からも利用できます。
Claudeの利用プラン

2025年11月現在、Claudeには無料プランと有料プランがあります。
無料プラン:基本機能は無料で利用可能
有料プラン:より多くの使用量、ウェブ検索機能、高度な機能への先行アクセスなど
チームやエンタープライズなどのプランも用意されています。

商用利用はできるのか?【結論:可】
著作権と利用権
Claudeの利用規約には、明確に以下の記載があります。

日本語訳:
4. 入力、出力、アクション、およびマテリアル 権利と責任。 あなたは、当サービスに提出するすべての入力とすべてのアクションに対して責任を負います。当サービスに入力を提出することにより、あなたは、本規約に基づいて入力を処理し、サービスを提供するために必要なすべての権利、ライセンス、および許可を有していることを表明し、保証します。これには、たとえば、サードパーティのサービスとの統合、あなたの指示に従って他者とマテリアルを共有すること、アクションを実行することが含まれます。また、あなたが入力を提出したり、Claudeにアクションを実行させたりすることが、本規約、利用規約、または入力やアクションに適用される法律や規制に違反しないことを表明し、保証します。あなたとAnthropicの間において、適用法で認められる範囲で、あなたは提出した入力に対して有する権利、権原、および利益を保持します。本規約を遵守することを条件として、当社はあなたに対して、出力物に対する当社の権利、権原および利益(もしあれば)を譲渡します。
つまり、Claudeで生成されたコンテンツ(アウトプット)の権利はユーザーに帰属し、商用目的での利用が可能です。
商用利用向け利用規約にも同様の記載があります。

日本語訳:
当事者間において、適用法で認められる範囲で、Anthropicは顧客が(a)その入力に対するすべての権利を保持し、(b)その出力を所有することに同意します。Anthropicは、本規約に基づいて顧客コンテンツに対して受け取る権利を放棄します。顧客が本規約を遵守することを条件として、Anthropicは顧客に対して、出力物に対する権利、権原および利益(もしあれば)を譲渡します。Anthropicは、サービスから得られる顧客コンテンツでモデルを訓練することはありません。
※ただし、生成AIで出力したコンテンツを商用利用する場合は、利用規約の解釈や著作権リスクの評価について、社内の法務担当者や専門家にご相談することを強く推奨します。特に大規模な商用展開や重要なビジネス用途での利用前には、必ず専門的な法的助言を求めることが重要です。
ライセンスについて
Claudeを利用する際のライセンスに関する重要なポイントを、Anthropicの利用規約から解説します。
無料版と有料版のライセンスの違い
Claudeのライセンスには複数のプランがあり、2025年7月現在では無料版と複数の有料プラン(Claude Pro、Claude Enterprise)が提供されています。無料版でも商用利用は可能ですが、利用できる機能や最新モデルへのアクセスに制限があります。
無料プラン(Free):
・基本的な機能にアクセス可能
・生成コンテンツの権利はユーザーに帰属
・入力と出力に制限あり
・最新モデルへのアクセスに制限あり
有料プラン(Pro、Enterprise):
・高度なモデルのアクセス
・優先的な処理速度と安定したサービス提供
・利用制限の緩和(一定時間内により多くのリクエストが可能)
API利用時のライセンス
Claude APIと「Claude Pro」「Claude Team」は別々に請求されるシステムになっています。Claude Pro/Teamは月額固定料金ですが、Claude APIは使用した分だけ課金される従量課金制です。APIではトークン数に基づく課金体系となっており、利用するモデルによって料金が異なります。入力(Input)と出力(Output)の両方に対して課金されるため、コスト管理が重要です。
なお、APIを通じて商用利用する場合も、生成されたコンテンツの権利はユーザーに帰属します。また、大量処理のためのバッチ処理機能やプロンプトキャッシング機能を使うことで、最大50〜90%のコスト削減が可能です。
禁止事項
Claudeの利用において、以下のような行為は禁止されています。

普遍的な利用基準(Universal Usage Standards)
Claudeのすべてのユーザーと利用ケースに適用される基準として、以下の行為が禁止されています。
・適用法の違反または違法行為
・重要インフラの危険化:電力網、水処理施設、通信ネットワーク、航空管制システムなどへの攻撃
・コンピュータやネットワークシステムの侵害:不正アクセスやセキュリティ侵害
・武器の開発・設計暴力やヘイト行為の扇動:テロリズムや暴力的過激主義の促進
・プライバシーやアイデンティティ権の侵害:なりすましやソーシャルエンジニアリング
・子どもの安全への脅威:児童の性的虐待素材の作成、未成年者の搾取
・心理的・感情的に有害なコンテンツの作成:自傷行為の促進、不健康な美の基準の推進
・誤情報の拡散:虚偽または誤解を招く情報の作成や拡散
・民主的プロセスの妨害:選挙への干渉や政治キャンペーン活動
・刑事司法、検閲、監視、法執行目的での使用:同意なしの追跡や監視
・詐欺的、虐待的、略奪的行為:偽造品の流通、スパムの生成
・プラットフォームの悪用:複数アカウントでの悪意ある活動、ガードレールの回避
・性的に露骨なコンテンツの生成
ハイリスクユースケース要件
法律、医療、保険、金融、雇用・住宅、学術試験、メディア・ジャーナリズムなどの分野では、以下の追加措置が必要です。
・専門家によるレビュー:最終決定や公開前に、その分野の有資格専門家による確認が必須
・AI使用の開示:エンドユーザーに対して、AIを使用していることを各セッションの開始時に開示
その他のガイドライン
・消費者向けチャットボット:AIとの対話であることを各セッション開始時に開示
・未成年者向け製品:追加のガイドラインに準拠
・エージェント的利用:本ポリシーのすべての禁止事項に準拠
これらの禁止事項は、Claudeを安全かつ倫理的に使用するための重要な基準です。商用利用においても、これらのルールを遵守することで、AI技術が社会に安全に統合され、持続可能なAI活用が実現します。
商用利用の注意点
商用利用できるとはいえ、以下の点には注意が必要です。
出力の正確性の確認

日本語訳:
出力とアクションへの依存。 人工知能と大規模言語モデルは、精度、信頼性、安全性の向上が続いているフロンティア技術です。本サービスを利用する際には、以下の事項を認識し、同意するものとします。
・出力は常に正確であるとは限らず、詳細さや具体性のレベルから正確であるように見えても、重大な不正確さを含む場合があります。
・アクションにエラーがないとは限らず、意図したとおりに動作しない可能性があります。
・出力やアクションに依存する前に、独立してその正確性を確認する必要があります。
・サービスおよび出力は、正確、最新、または完全な情報を反映していない可能性があります。
・出力には、Anthropicの見解と一致しない内容が含まれる可能性があります。
生成されたコンテンツが既存の著作物に類似していないかを確認し、事実関係については独立して検証することが重要です。
機密情報の取り扱い

日本語訳:
アカウント設定でオプトアウトしない限り、当社はあなたの入力と出力をモデルの訓練とサービスの改善に使用する場合があります。オプトアウトした場合でも、以下の場合には入力と出力をモデル改善のために使用します:(1) 有害なコンテンツの検出能力を向上させ、ポリシーを執行し、またはAI安全性研究を進めるために、あなたの会話が安全性レビューのためにフラグが立てられた場合、または (2) あなたが明示的に資料を報告した場合(たとえば、フィードバック機能を通じて)。
個人向けサービス(Claude.ai等)では、アカウントのプライバシー設定でオプトアウトすることで、入力と出力がモデル訓練に使用されることを防ぐことができます。ただし、安全性レビューのためにフラグが立てられた場合や、明示的にフィードバックを提供した場合は例外となります。
特に機密性の高い情報を扱う場合は、必ずアカウント設定でオプトアウトするか、Enterprise契約を検討するか、クリエイティブな質問と機密データを分離して使用するなどの対策を取ることをおすすめします。
免責事項

日本語訳:
出力を使用したり共有したりする前に、人間によるレビューが適切な場合も含めて、出力が顧客の使用事例に適切かどうかを評価することは顧客の責任です。顧客は、出力における事実の主張は、独立してその正確性を確認することなく依存すべきではないことを認識し、ユーザーに通知しなければなりません。それらは誤り、不完全、誤解を招く、または最近の出来事や情報を反映していない可能性があるためです。顧客は、出力にはAnthropicの見解と一致しない内容が含まれる可能性があることをさらに認識します。
この規定により、商用利用時には生成されたコンテンツの正確性を独立して確認する責任が顧客にあることが明確になっています。
まとめ
Claudeは高性能な対話型AIサービスとして、テキスト生成、コード実行、ファイル作成などさまざまな用途に活用できます。商用利用については、Anthropicの利用規約に明記されているように、生成されたコンテンツの著作権はユーザーに帰属し、商用目的で自由に使用することが可能です。
ただし、禁止事項の遵守や著作権の確認、機密情報の取り扱いには注意が必要です。特に、生成されたコンテンツは独立して事実確認を行い、他者の著作物に類似していないか確認することをおすすめします。
2025年9月時点で最新のClaude Sonnet 4.5は、世界最高のコーディング能力と高度なエージェント機能を備えています。Claude Code、Claude Agent SDK、Chrome拡張機能など、Claudeは進化を続けています。ビジネスシーンでの活用を検討する際は、最新の機能と利用規約を確認した上で、効果的に活用しましょう。
本記事は2025年11月時点の情報に基づいて作成されています。生成AI技術は日々進化していますので、最新の情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
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