AIによるテキスト、音声、画像の生成は、今や個人クリエイターから企業マーケターまで幅広く活用されています。中でも「ChatGPT」は、多様な入力形式に対応した高性能な対話型AIサービスとして注目を集めています。
しかし、気になるのは商用利用が可能かどうか。「ビジネスコンテンツに活用したい」「制作物に使いたい」という方にとって、利用規約の確認は非常に重要です。
本記事では、ChatGPTの商用利用可否について、利用規約の原文とともにわかりやすく解説します。
ChatGPTとは?

ChatGPTは、OpenAIが開発した対話型AIサービスで、テキスト、音声、画像など多様な形式でユーザーと自然な会話が可能です。
主な特長
1. 多様な入力と出力形式
テキスト作成、要約、翻訳、プログラミング支援、画像解析、音声会話など幅広く対応
2. 高度な推論能力
複雑な問題解決やクリエイティブな提案が可能
3. 文脈理解
長い会話の流れを把握し、一貫性のある応答を提供
4. マルチモーダル対応
テキスト、画像、音声など複数の情報形式を組み合わせた対話が可能
最新モデルと機能アップデート
1. 最新モデル「GPT-4o(Omni)」
2024年5月にリリースされたGPT-4oは、テキスト、音声、画像、コード、動画など多様な形式に対応するマルチモーダルモデルです。これにより、より自然で人間らしい対話が実現されています。
最近では、過度に同意する傾向が指摘され、バランスの取れた応答に戻すための調整が行われました。また、より高度な推論能力を持つ「o3」「o4-mini」モデルが追加され、特にSTEM分野での問題解決能力が向上しています。
2. ショッピング機能
2025年4月、ChatGPTにショッピング機能が追加されました。ユーザーはファッション、美容、家電、家庭用品などのカテゴリーで、画像、価格、レビュー付きの製品情報を閲覧し、外部サイトへの購入リンクを通じて商品を購入できます。この機能は広告やアフィリエイトに依存せず、第三者のメタデータに基づいています。
3. タスク管理機能「Tasks」
ChatGPTに「Tasks」機能が追加され、リマインダーや定期的な通知の設定が可能になりました。ユーザーはチャット内で「明日の9時に会議のリマインダーを設定して」といった指示を出すことで、タスクを管理できます。
4. メモリ機能の強化
ChatGPTは、ユーザーとの過去の会話内容を記憶し、文脈を踏まえた応答が可能になりました。これにより、よりパーソナライズされた対話が実現されています。
5. 音声通話機能の拡張
最新アップデートでは、WhatsAppや1-800-CHATGPTを通じて音声通話が可能になりました。これにより、テキスト入力だけでなく、自然な会話形式でのAI利用が広がっています。
日本での利用について
ChatGPTは、Googleアカウントやメールアドレスでの登録が可能で、日本からも利用できます。
ChatGPTの利用プラン

2025年6月現在、ChatGPTには無料プランと有料プランがあります。
無料プラン:基本機能は無料で利用可能
有料プラン:高度なモデルへのアクセス、優先的な処理速度、新機能への早期アクセスなど
重要:個人向けとビジネス向けの利用規約の違い
OpenAIでは、利用者の種類によって異なる利用規約を設けています。
個人向け利用規約
・適用範囲:ChatGPT、DALL·E、OpenAIの個人向けその他のサービス
・有効日:2024年12月11日
・対象:個人・消費者ユーザー
ビジネス向けサービス契約
・適用範囲:ChatGPT Enterprise、ChatGPT Team、API、その他ビジネス・開発者向けサービス
・有効日:2025年5月31日
・対象:企業・開発者・組織
商用利用はできるのか?【結論:可】
個人向けプランでの商用利用
ChatGPTの利用規約には、以下の記載があります。

本コンテンツの所有権限 お客様とOpenAIの間において、適用法令で認められる範囲で、お客様は、(a)インプットの所有権限は保持し、(b)アウトプットについての権利を有するものとします。当社はアウトプットに関する権利、権原、及び利益がある場合、これらすべての権限をお客様に譲渡します。
つまり、ChatGPTで生成されたコンテンツ(アウトプット)の権利はユーザーに帰属し、商用目的での利用が可能です。
ビジネス向けプランでの商用利用
ビジネス向け利用規約にも同様の記載があります。

日本語訳:
顧客および顧客のエンドユーザーは、入力を提供し出力を受け取ることができます。顧客とOpenAIの間において、適用法で認められる範囲で、顧客は:(a)入力におけるすべての所有権を保持し、(b)すべての出力を所有します。OpenAIは、出力に関するOpenAIのすべての権利、権原、および利益(もしあれば)を顧客に譲渡します。
結論:個人向け・ビジネス向けのどちらのプランでも、生成されたコンテンツの著作権はユーザーに帰属し、商用目的での利用が可能です。
※ただし、生成AIで出力したコンテンツを商用利用する場合は、利用規約の解釈や著作権リスクの評価について、社内の法務担当者や専門家にご相談することを強く推奨します。特に大規模な商用展開や重要なビジネス用途での利用前には、必ず専門的な法的助言を求めることが重要です。
データ利用ポリシーの重要な違い
個人向けプランでのデータ利用

本コンテンツの使用
当社は、本サービスの提供、維持、開発、改善、適用法の遵守、当社の規約及びポリシー等の履行請求、及び本サービスの安全性の維持のために、本コンテンツを使用する場合があります。
使用停止(オプトアウト)
当社モデルの学習にお客様の本コンテンツを使用することを望まない場合、このヘルプセンターの記事の手順に従って使用停止を要求できます。
ビジネス向けプランでのデータ利用

日本語訳:
OpenAIは、顧客にサービスを提供し、適用法を遵守し、OpenAIポリシーを執行し、悪用を防ぐために必要な場合にのみ顧客コンテンツを使用します。OpenAIは、顧客が明示的にそのような使用に同意しない限り、サービスの開発または改善のために顧客コンテンツを使用しません。
重要な違い:
個人向け:オプトアウト方式(申請により学習使用を停止可能)
ビジネス向け:オプトイン方式(明示的同意なしには学習に使用されない)
ライセンスとプランの詳細
無料プラン(個人向け)
・基本的な機能にアクセス可能
・生成コンテンツの権利はユーザーに帰属
・入力データはOpenAIのモデル学習に使用される可能性あり(オプトアウト可能)
有料プラン(Plus、Pro等)
・高度なモデル(GPT-4o、o3など)へのアクセス
・優先的な処理速度と安定したサービス提供
・利用制限の緩和
ビジネス向けプラン(Team、Enterprise等)
・データ保護機能の強化
・明示的同意なしのデータ学習使用禁止
・キュリティ強化措置
・監査レポートの提供
・HIPAA対応(Healthcare Addendumにより)
API利用時の留意点
ChatGPT APIは別途の料金体系(従量課金制)となっており、利用するモデルによって料金が異なります。入力(Input)と出力(Output)の両方に対して課金されるため、コスト管理が重要です。
プラン選択の指針
個人・小規模利用の場合
・無料プランまたはPlus/Proプランが適している
・商用利用可能だが、データがモデル学習に使用される可能性
・オプトアウト手続きによりデータ学習使用を停止可能
企業・組織での利用の場合
・TeamまたはEnterpriseプランを推奨
・データ保護機能が強化され、明示的同意なしのデータ学習使用なし
・セキュリティ・コンプライアンス要件に対応
API開発者の場合
・OpenAI Services Agreementが適用
・従量課金制でコスト管理が重要
・競合AIモデル開発への使用制限に注意
禁止事項
以下のような利用は禁止されています。

法令違反行為の禁止
・他者のプライバシー侵害
・違法な薬物・武器・商品・サービスの開発や配布
・児童の搾取・虐待
・規制対象の活動(例:マネーロンダリング)
自己や他人への加害行為の禁止
・自傷行為・自殺の助長
・暴力の助長、武器の使用
・財産の破壊・損壊
有害なアウトプットの使用禁止
・詐欺、スパム、誤情報、いじめ、差別、名誉毀損
・性的搾取やヘイトスピーチ
・苦痛や暴力を助長する目的での再利用
サービス保護措置の回避禁止
システムのバイパス、レート制限の回避など
競合AI開発の制限

つまり、特定の例外を除き、OpenAIと競合するAIモデルの開発にアウトプットを使用することは禁止されています。
商用利用においても、これらのルールを尊重することがAI活用の持続可能性を高めます。これらの規定は制限というよりも、AI技術が社会に安全に統合されるための枠組みと捉えるべきでしょう。ChatGPTの創造的可能性を最大限に引き出しながら、社会的責任を果たすことが、真の価値あるAI活用といえるでしょう。
商用利用の注意点
商用利用できるとはいえ、以下の点には注意が必要です。

著作権の確認
生成されたコンテンツが既存の著作物に類似していないか確認してください。利用規約には以下の記載があります。
本コンテンツの類似性
当社の本サービス及び一般的な人工知能の性質上、アウトプットは特有のものではない場合があり、他のユーザーが当社の本サービスから同様のアウトプットを受け取る場合があります。上記の当社による権限譲渡は、他のユーザーのアウトプット又は第三者アウトプットには適用されません。
まとめ
ChatGPTは高性能な対話型AIサービスとして、テキスト、音声、画像生成などさまざまな用途に活用できます。最新モデルGPT-4oや機能拡張により、ますます使いやすく高性能になっています。
商用利用については、OpenAIの利用規約に明記されているように、生成されたコンテンツの著作権はユーザーに帰属し、商用目的で自由に使用することが可能です。
ただし、禁止事項の遵守や著作権の確認、機密情報の取り扱いには注意が必要です。特に、他者の著作物に類似した内容を生成した場合は、著作権侵害の可能性があるため、専門家に相談することをおすすめします。
2025年5月時点で最新のGPT-4o(Omni)モデルやショッピング機能、タスク管理機能など、ChatGPTは進化を続けています。ビジネスシーンでの活用を検討する際は、最新の機能と利用規約を確認した上で、効果的に活用しましょう。
本記事は2025年6月時点の情報に基づいて作成されています。生成AI技術は日々進化していますので、最新の情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
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