生成AIによる動画制作が身近になった今、テキストや画像から高品質な動画を生成できる「Runway」が注目を集めています。特に映像制作における革新をもたらしており、プロフェッショナルから初心者まで幅広いユーザーに支持されています。
しかし、ビジネスでの活用を検討する際に気になるのが「商用利用は可能なのか」という点です。制作物をクライアントワークに使いたい、マーケティング素材として活用したいという方にとって、利用規約の確認は欠かせません。
本記事では、Runwayの商用利用可否について、利用規約の原文とともにわかりやすく解説します。
Runwayとは？
Runwayは、AIを活用した動画生成・編集ツールであり、特に映像制作における革新をもたらしています。2025年3月にリリースされた最新バージョン「Gen-4」は、映像の一貫性やリアリズムの向上により、プロフェッショナルから初心者まで幅広いユーザーに支持されています。
主な特長
1. 多様な動画生成機能
・Text to Video：テキストプロンプトから直接動画を生成
・Image to Video：静止画を基に動画を作成
・Video to Video（Restyle）：既存の動画に新たなスタイルや演出を加える
・Act-One：カメラで撮影した人物の表情をアニメーションキャラクターに反映
・Frames：映画のような次世代AI画像生成モデル
2. 高品質な映像出力
Gen-3以降、画質や出力の一貫性が大幅に向上し、リアルな人間の複雑な動きやダイナミックな動きを高精度で表現可能となりました。
3. 高速な処理速度
Gen-3 Alpha Turboでは、10秒の動画をわずか30〜40秒で生成できる能力を持ち、効率的な制作が可能です。
4. 直感的な操作と柔軟性
初心者でも使いやすいインターフェースを備えており、PCとスマホ（iOS）両方で利用できるため、どこでも手軽に動画生成が行えます。
最新の機能拡張：Gen-4の進化
1. Gen-4の革新的な進化
2025年3月にリリースされた「Gen-4」は、以下の点で大きな進化を遂げました。
・キャラクターや背景の一貫性：異なるシーンや視点でも、キャラクターや背景の統一感を維持
・自然な視点変更：カメラワークの自由度が向上し、ダイナミックな演出が可能
・直感的なスタイル設定：参照画像やテキストを使って、映像の雰囲気やスタイルを簡単に指定可能
2. Gen-4 Turboの高速処理
Gen-4 Turboでは、10秒の高品質な動画を約30秒で生成できる高速処理が実現されています。
日本での利用について
Web版では、Googleアカウントやメールアドレスで登録でき、日本からも利用できます。また、iOS向けのモバイルアプリも提供されています。
Runwayの利用プラン
2025年6月現在、Runwayは無料プランと複数の有料プランを提供しています。
・無料プラン：125クレジット（初回のみ）、Gen-4 Turboまたは Gen-3 Alpha Turbo で25秒分の動画生成が可能。ただし透かし付き、Gen-4動画機能なし、3つのビデオ編集プロジェクト制限
・Standardプラン（$15/月）：毎月625クレジット（Gen-4で52秒分相当）、高画質出力、透かし除去、100GBストレージ、無制限ビデオ編集プロジェクト
・Proプラン（$35/月）：毎月2,250クレジット（Gen-4で187秒分相当）、カスタム音声作成、リップシンク機能
・Unlimitedプラン（$95/月）：Proプランの全機能に加え、探索モードで主要な生成機能が無制限利用可能
・Enterpriseプラン：大規模組織向け、SSO、カスタムクレジット・ストレージ、優先サポート、高度なセキュリティ機能
商用利用はできるのか？【結論：有料プランで可、無料プランは制限あり】
利用ライセンスと商用利用権
Runwayの利用規約には、生成コンテンツの商用利用について以下のように記載されています。
日本語訳：
本契約の遵守を条件として、当社はあなたの出力物の商用利用を制限しません。
Standard以上の有料プランにおいて生成されたコンテンツの商用利用が可能です。無料プランについては、透かし付きの出力や機能制限があるため、商用利用には適していません。
※ただし、生成AIで出力したコンテンツを商用利用する場合は、利用規約の解釈や著作権リスクの評価について、社内の法務担当者や専門家にご相談することを強く推奨します。特に大規模な商用展開や重要なビジネス用途での利用前には、必ず専門的な法的助言を求めることが重要です。
入力コンテンツのライセンス条項
Runwayの利用規約には、入力コンテンツについて以下のように記載されています。
日本語訳：
あなたは本契約により、当社に対し、上記の目的に関連して、あなたが利用可能にした入力・出力、またはサービスの利用に関連して生成されたものを使用する非独占的、取消不能、永続的、世界的、ロイヤリティフリー、完全有償、譲渡可能、サブライセンス可能な権利およびライセンスを付与します。
この条項は、ユーザーが入力したデータや生成された出力をRunway側がサービス改善やAIモデルの訓練目的で利用できることを意味します。ただし、これによってユーザーが生成コンテンツを商用利用する権利が制限されるわけではありません。
コンテンツ利用の制限事項
基本的な禁止事項
Runwayの利用規約には、以下のような禁止事項が明記されています。
児童の安全に関する制限
児童の性的虐待や性的対象化を描写、促進、または奨励するコンテンツが禁止されています。
暴力的・グロテスクなコンテンツ
テロリズムや暴力的過激主義を描写、促進するコンテンツ、および露骨な暴力の描写や暴力を扇動するコンテンツが禁止されています。
性的に露骨なコンテンツ
性的に露骨なコンテンツや成人の裸体の描写が禁止されています。
他者の権利を侵害する可能性のあるコンテンツ
以下のようなコンテンツの作成が禁止されています。
・他者の許可なく、その人物の画像や動画を使用すること
・知的財産権を侵害する可能性のあるコンテンツ
・知られている生存する芸術家のスタイルでコンテンツを作成する試み
誤解を招くコンテンツの制限
詐欺、詐取、意図的な誤解を招くためのサービス利用や、個人または団体になりすますためのサービス利用が禁止されています。
プライバシーとデータ保護
データの取り扱い
Runwayのプライバシーポリシーによると、ユーザーデータの処理について以下のように説明されています。
日本語訳：
以下の目的であなたに関する情報を使用する場合があります…サービス提供と運営…サービス改善、研究、分析…マーケティング…コンプライアンスと保護。
Runwayは主に以下の目的でユーザーデータを処理します。
・サービス提供と運営：サービスの提供、運営、改善、およびパーソナライゼーション
・サービス改善、研究、分析：ユーザー活動の分析、サービス改善、新製品・サービスの開発
・マーケティング：ダイレクトマーケティング、イベント、プロモーション
・コンプライアンスと保護：法的要求への対応、権利・安全・財産の保護
AIモデル訓練に関する権利
日本語訳：
入力と出力が、当社のAIモデル、アルゴリズム、関連技術、製品、サービスの訓練と改善のために使用される可能性があることを認識しています。
機密性の高いビジネスコンテンツを扱う場合は、Enterpriseプランの利用を検討することをおすすめします。
商用利用の注意点
商用利用できるとはいえ、以下の点には注意が必要です。
生成コンテンツの品質と責任
日本語訳：
あなたは、適用法で許可される範囲において、サービスの利用はあなた自身のリスクで行うものであり、サービスは「現状のまま」および「利用可能な状態で」、すべての欠陥を含めて提供されることを明示的に理解し、同意します。当社関係者は、あらゆる種類の保証、表明、条件を明示的に否認します…当社関係者は以下について保証、表明、条件を提供しません：(1) サービスがあなたの要件を満たすこと；(2) サービスの利用が中断されず、タイムリーで、安全で、エラーがないこと…
生成されたコンテンツが期待通りの品質であることを確認し、商用利用前には十分な品質チェックを行うことが重要です。
著作権と類似性の確認
生成されたコンテンツが既存の著作物に類似していないかを確認し、第三者の権利を侵害していないことを事前に確認することが必要です。
責任と免責事項
日本語訳：
あなたは、あなたのコンテンツまたはあなたのアプリケーションに関連して、または起因するあらゆる損失、費用、責任、経費から当社、その親会社、子会社、関連会社を免責し、無害に保つことに同意します。
商用利用時には、コンテンツの使用に関する責任を理解し、適切なリスク管理を行うことが重要です。
紛争解決と準拠法
Runwayの利用規約では、紛争解決について詳細な仲裁条項が設けられています。
日本語訳：
あなたは、サービスまたは本契約に関連するあなたと当社関係者との間のあらゆる紛争について、裁判所ではなく拘束力のある仲裁によって解決されることに同意します。ただし、(1) 請求が条件を満たす場合、あなたと当社関係者は少額裁判所で個別の請求を主張することができます…
また、準拠法については以下のように定められています。
日本語訳：
本規約およびそれに関連するあらゆる行為は、連邦仲裁法と整合性を保ちながら、ニューヨーク州法によって統制され、解釈されます…
Runwayとの紛争は原則として仲裁で解決され、ニューヨーク州法が適用されます。ただし、少額裁判所での個別請求や知的財産権に関する差止救済については例外として裁判所での解決も可能です。
まとめ
Runwayは先進的なAI動画生成プラットフォームとして、2025年3月にGen-4がリリースされ、ますます高性能になっています。
商用利用については、Standard以上の有料プランにおいて利用が可能です。ただし、他者の知的財産権や肖像権の尊重、Usage Policyの遵守、適切なコンテンツ品質の確認が前提となります。
また、機密性の高いビジネス用途では、Enterpriseプランの利用を検討することで、より安全な利用が可能です。ビジネスシーンでの活用を検討する際は、最新の機能と利用規約を確認した上で、効果的に活用しましょう。
本記事は2025年6月時点の情報に基づいて作成されています。生成AI技術は日々進化していますので、最新の情報は各サービスの公式サイトでご確認ください。
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